君に幸せの唄を奏でよう。
「ありがとう」
お父さんがそう言ったのを聞いて、あたしは部屋に戻った。
ベッドの上で、ごろごろした。
明日楽しみだな。
【Side 達也】
今は、深夜。子供達も寝た。
音夜のギターの調律も終わり、僕は唄達の曲を防音室で聴いていた。
曲も終わりコンポをきった途端、眠気に襲われそのまま寝てしまった。
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目を覚ますと、僕の向かいに菜々子が座っていた。
「どうだった菜々子?」
僕は夢と分かっていたが、菜々子に聞いた。
『凄くよかったわ。たっちゃんは、どうだった?』
菜々子が、嬉しそうに聞いてきた。
「僕は、よかったと思う。声も伸びてて唄らしさが出てた」
『やっぱり?さすが、私達の子ね』
菜々子は、嬉しそうに言ってきた。
「そうだね」
僕も自分のように嬉しかった。
しかし、菜々子の表情が曇り始めた。
「どうしたの?」
僕は、菜々子に尋ねた。
『ねぇ、たっちゃん』
「ん?」
『唄は、大丈夫…よね』
菜々子は、悲しそうな顔をして聞いてきた。
「大丈夫だよ。唄は、“あの頃”の僕らみたいに同じ繰り返しをしないよ」
『…そうよね。信じなくちゃね』
菜々子は、笑顔で言ってきた。
『あの子を見ていると、私達の夢を叶えてくれるような気がするの』
菜々子は、僕の手を握りながら言ってきた。
「うん。僕もそう思うよ」
僕も菜々子の手を握った。
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僕は、目を覚ました。机の上に置いてあった携帯を見ると、午前4時半 だった。
…もう1回寝よう
防音室を後に、自分の部屋に戻った。
ベッドに入り、また眠りについた。