君に幸せの唄を奏でよう。
「大丈夫か?」
亮太が、心配そうに駆け寄ってきてくれた。あたしは、平気だから笑顔を向ける。
「大丈夫。あれぐらいは、あたしでも撃退できるし」
あの程度で、負けるほどあたしは弱くない。それに、みんなが居るから、何があっても負けない。
「結局、俺が助ける出番はなしかよ…」
亮太は悔しそうに呟く。小学校の時から亮太は、あたしに対してかなりの心配性。だけど、それが優しさだと知っているから、いつも救われている。
「亮太が、側についてくれてるから凄く頼もしいわ。いつもありがとう」
「~~お、おう!!」
感謝の気持ちを伝えると、顔を真っ赤に染めて照れ臭そうにする亮太が何だか、可愛く見えた。
「高橋。あいつらになんて言ったの?」
浩ちゃんは、さっきの答えを知りたいらしく前のめりに聞いてくる。
「別に。なーんにも。企業秘密で」
「なんだよ、企業秘密って……」
亮太は、不服そうな表情をする。まぁそれに、あの3人組のプライバシーを考えて、あの噂は流しちゃいけないと思うし。
「唄希ちゃん大丈夫?」
考え事をしてたら、佳奈が心配そうに見つめていた。
「大丈夫よ。心配かけてごめんね」
「よかった~」
佳奈は、安心したみたいでふわりと笑いかける。
…か…可愛い!どこからマイナスイオンを出してるの!?凄く癒される………!
「あっ。そう言えば、次何の授業だっけ?」
佳奈のマイナスイオンに癒されてるなか、ふと我に返り授業のことを皆に聞く。
「次は、数学だよ」
「ヤベッ!今日俺から当たるわ…」
亮太は数学という言葉を聞き、血行の良い顔が徐々に顔を青ざめ始める。