君に幸せの唄を奏でよう。
「今から、用事があって出かけるのよ」
あたしは、やむを得ず断った。
「……そっか。なら、仕方ないな」
「本当にごめん」
もとはと言えば、あたしが携帯を落としたのが原因。罰が悪かった。
「謝るなよ。急に誘った俺が悪いんだし」
「亮太は悪くないよ」
あたしは、申し訳ない気持ちで言った。
「じゃあ、また後で」
亮太が、話しを振ってくれた。
「うん。また後で」
あたしは、電話をきった。
やばっ!もうこんな時間!
部屋に戻り、学校用のリュックに必要な物を入れた。
本当は、いつも使っているお気に入りのリュックで行きたかったけど、ナンパ達にリュックをぶつけたので洗濯中。
急いで1階に下り、お母さんの所に行った。
「お母さん、行ってきます!」
あたしはそう言い、待ち合わせのカフェに向かった。
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あたしは、カフェに着いた。さっきから、心臓がドキドキと脈を打ってうるさい。
なに緊張しているのよっ!落ちつくのよ、あたし!軽く深呼吸をし、ドアに手を掛けた。
「さっきから、何をやってるんだ?」
「ぎゃ?!」
突然、背後から声をかけられたので、あたしは慌てて後ろに振り向いた。
「びっくりするじゃないっ!橘 奏!」
なんて呼ぼうかと悩んだ末、フルネームで呼ぶことにした。
「お前が、いつまでもつったっているからだろ」
うっ…言い返せない…。
「まぁ、丁度よかった。これ」
橘 奏は、あたしの携帯を渡してくれた。
「あ、ありがとう」
あたしは、携帯を受け取りホッとした。