君に幸せの唄を奏でよう。
「花田屋?」
なんだそれ?という目であたしを見てきた。
「えっ!花田屋、知らないの?!」
あたしは、大きな声を出してしまった。
向こうにいた店員と目があった。驚いた顔をしてあたしを見ていた。
あたしは恥ずかしくなり、軽くお辞儀をした。
「知らない。そんなに有名なのか?」
橘 奏は、不思議そうに聞いてきた。
「有名もなにも…この辺りで、知らない人はいないわよ」
あたしは、答えた。
「そうなのか。引っ越してきたばかりで、周りになにがあるのかまだ、分からない」
「引っ越してきたの?」
あたしは、尋ねた。
「質問攻めだな…」
そう言い、アイスコーヒーを飲んだ。
「だって、この辺りに引っ越してくるのが珍しくて…」
「そうなのか?」
橘 奏は、聞いてきた。
「そうよ。この辺りに住んでいる人たちは、上京する人が多いのよ」
「へぇー」
橘 奏は、興味をなさそうに答え、ティラミスを食べた。
「どこから引っ越してきたの?」
あたしは、聞いた。
「……………東京から」
なに…この空気…。
もしかして、地雷踏んじゃた?!
「ヘ、ヘェー。ソウナノ。」
やばっ!自分でも分かるこの棒読み!こうなったら…強引に話しを変えよう。
あたしは、落ち着くためアイスコーヒーを飲んだ。
「は、話し変わるんだけど、橘 奏は何歳なの?」
落ち着いたので、あたしは聞いた。
「19。お前は?」
「じゅ、15よ」
歳を聞かれたのは、予想外だったけど
これで、空気を変えたわよ!
あたしは、机の下で気づかれないようガッツポーズをした。
「じゃあ、高1?」
「うん」
あたしはそう答え、ティラミスを食べた。