君に幸せの唄を奏でよう。



「亮太は、特に数学ダメだからね~。まぁ頑張って」

穏やかな声をかけながら、亮太の肩に手を置く。

「冥福を祈ってるよ」

浩ちゃんも優しく微笑みながら、亮太の肩に手を置いた。そして、2人同時に口を開く。

「「大丈夫。人生つまずくこともあるわ(よ)」」

あたしと浩ちゃんが爽やかに言うと、亮太の肩が小刻みに振るえ始めた。

「ちょっと待てえぇぇい!」

亮太は大声を張り上げながら、あたし達の手を振り払う。そして、ギロリと睨み付けてあたし達に真っ赤な表情を向ける。

「俺を哀れみの目で見るなぁぁあ!!」
「あたし達が、そんな目で見てる分けないでしょ?」
「僕らは、ただ亮太を心配しただけなんだよ」

肩を酷く震わせながら、あたし達を指差す亮太。本当に、あたしと浩ちゃんは亮太の心配をしているだけなのに…。特に、あたしは亮太とは長年の付き合いだから、亮太がどれだけ数学が苦手なのか知っている。

「「だからこそ、心から亮太にエールを送って「それが、哀れみの目だって言ってるだろうがああああ!!」

亮太が激怒した。どうやら、あたし達が爽やかに言うのが気にくわないみたい。

「亮太くん!落ち着いて!」

必死で佳奈が、亮太の怒りを鎮めようとする。しかし、バットタイミングな所で、授業を告げるチャイムが鳴り響く。

「チャイム鳴ったよ。頑張れ」

浩ちゃんは悪気はなかったと思うけど、またもや爽やかに言い残して自分の席へと戻った。

「うわー地獄が始まる……」

亮太は、両手で頭を抱え込みブツブツと呟いて席に向かう。佳奈は、そんな亮太を心配しながら戻った。

席が近かったら教えてあげられるけど、凄く離れてるから出来ない。だからこそ、心の底から応援し続ける。

亮太、頑張って!


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