君に幸せの唄を奏でよう。
あたしは、悩んでいた。もちろん、“橘 奏”の事。
あれから1週間経つが、気になって頭から離れない。
『………歌が嫌い。ただ、それだけの理由だ』
結局、理由分からなかったし。
『……お前を助けたのは、たまたまだ』
確かに、助けてくれたのはたまたまだったけど……けど…けど……!
質問した途端、急に態度が変わるのってどうよ?!
あたしが、悪いのは分かるわよ。聞いてはいけない事を聞いたから。
だから、あいつは睨みながら言ってきた。
『もう、お前と会うことはない』って………
酷くない?!しかも、質問するまで、普通だったくせにッ!ただ、あたしは知りたかっただけなのに……意味分かんないんだけどーーーーッ!!
「高橋」
「なにッ!…ぁ……」
あたしの体から、血の気が引いていった。鈴木先生が、あたしを睨んでいた。
「ほぉ……。俺に対して“なに!”とはなぁ……。いつからお前は、偉くなったんだ?ん?」
しまった!今、授業中だったッ!!よりによって、鈴木先生の授業!
「あ、あの、これには、深~~い理由がありまして……」
あたしは、必死になって言い訳をした。
「ほぉー。分かった。お前のその“深~~い理由”は、放課後ゆっくり聞いてやろう」
えぇぇえええっ?!
「先生っ!放課後は、ちょっと用事がありまして
、別の日に-」
「なにを言っているんだ。俺が、わざわざ聞いてやるって言ってるんだから感謝しろよ」
先生は、微笑みながら言ってきたが、目は笑っていない。