君に幸せの唄を奏でよう。
「お前は、同じ繰り返しを何回すれば分かるんだ?」
浩ちゃんの家に向かいながら亮太に怒られた。
「あ、あたしだって、別に好きでやってるわけじゃないわよ」
あたしは、亮太に言った。
「そうだよ。好きでやってたらこっちも困るし」
グサッ!
容赦(ようしゃ)ない浩ちゃんの言葉が、あたしの心に刺さった。
「で、でも、唄ちゃんはそんな事しないよ」
「佳奈…」
佳奈が必死になって、あたしをフォローしてくれた。
みんなが、カリカリしているのは無理もない
ライブまで後1週間弱。
練習をしないといけないので、あたし達は、時間を大切にしている。
それなのに、あたしは足を引っ張ってしまった。
「みんな、ごめん…」
あたしは、謝った。
「……ごめん。言い過ぎた」
何故か、亮太が謝ってきた。
「…八つ当たりして、ごめん」
亮太に続き、浩ちゃんも謝ってきたので、あたしはビックリしてしまった。
「2人共謝らないでよ。もとはと言えば、あたしが悪いんだし」
あたしは、2人に言った。それでも2人は、罰が悪そうな顔をしていた。
気まずい空気になった。
どうしよ…
「これで、仲直りだね」
佳奈が笑顔で言ってきた。
「…そうだな。よし-。早く練習しようぜ」
亮太は、あたし達に言った。
「亮太の言う通りだ。僕らも行こう」
「「うん」」
あたし達は、再び浩ちゃんの家に向かった。