君に幸せの唄を奏でよう。
---ライブ当日---
これで、いいのかな…
あたしは、トイレの鏡で服装のチェックをした。
この前、佳奈が選んでくれた白のワンピースを着た。
ライブで、こんな格好するの初めてだな…。鏡に映った自分が不思議で仕方なかった。
「どう…かな?」
佳奈もトイレから出てきた。
「すっごく似合ってる♪」
あたしは、佳奈に言った。
「本当…?唄ちゃんも凄く似合ってるよ♪」
「そんな事ないわよ。逆に恥ずかしい」
あたしは、佳奈に言った。
「そんな事ないよ」
佳奈は、笑顔で言ってきた。
「ありがとう。控え室に戻ろうか」
「うん」
あたし達は、隣の控え室に戻った。
ドアを開けると、浩ちゃんは音楽プレーヤ-を聴き、亮太はベースの調律をしていた。
「おぅ。早かっ……たな…」
「準備出来たん…だね……」
2人は、言葉を途切れ途切れに言いながら、驚いた顔をしてあたし達を見てきた。
「…もしかして似合ってないの…かな?…」
佳奈が、気まずそうに2人に聞いた。
「…いや、スッゴく似合ってるよ。いつもと雰囲気が違うかったから、ちょっとビックリした」
何故か浩ちゃんは、照れながら言った。
「ありがとう」
佳奈は、照れながら言った。
もしかして-!
ガタっ!
「~~~~ッ!!」
亮太は椅子から勢いよく立ち上がり、顔を真っ赤にしてあたし達を見ている。
「どうしたの、亮太?」
何処か落ち着きのない亮太に、あたしは聞いた。
「高橋。しばらくそっとしておいてあげて」
浩ちゃんが、あたしに言ってきた。
「なんで?」
「想像以上だったからパニックになっているんだよ」
浩ちゃんの言った意味が全く分からなかった。