君に幸せの唄を奏でよう。


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「おい篠原。ここは、この前の授業でやった所だろ?」


「……分かりません」


授業が始まり、亮太が当てられて前で問題を解かされ10分経過している。亮太も亮太なりに、必死で考えているけど答えが出ない。


武藤先生は、黒縁のメガネをクイっと上げて亮太を見続ける。この先生もこの先生で、答えが正解するまで絶対に帰してくれない鬼。


「おいおい、こんな簡単な問題が出来ないでどうするんだ?」


武藤先生は、亮太を見下した目で嘲笑う。


言い方ムカつく。そもそも、この先生は説明が上手じゃない。いつも、変な言い回しで説明してわかりにくい。



「…分かりません」


一方亮太は、ガクっと肩を落として諦めていた。あまりにも、亮太が可哀想で見てられない。


「はぁ…もういい。戻れ」


武藤先生は頭をポリポリと掻いて、呆れながら話した。


「………はい」


亮太は、まるで捨てられた犬みたいにしょぼんと落ち込んだまま席へと帰った。


後で、何かしてあげよう……。


「じゃ次は…山田」


武藤先生は、山田くんに難問を押し付けて答えさせようとしてる。まぁでも、山田くんは頭いいから大丈夫ね。


それに、武藤先生が山田くんの列を当てたから、もうこっち側は当てられない。


……歌詞でも書こうかな。授業はそっちのけで、数学のノートのページを破り歌詞を考え始める。


何を書こうか悩んでいると、机を強く照らし出す太陽の日差しに気がついて窓の外を見た。


季節は初夏。桜は、とうに散り暖かかった日差しも暑い日差しへと変わろうとしている。澄み切った青空と白い雲が広がっている。風が強いのか、雲の流れが早い。


そして、そこに流れるある形をした雲を見つけてアイデアが思いつく。それを参考にして、破ったノートにひたすら書き続けた。


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