君に幸せの唄を奏でよう。
「あと1時間だな…」
落ち着きを取り戻した亮太が、時計を見ながら呟いた。
「そうね」
あたしは、アコギのチューニングをしながら言った。
隣に座っている佳奈の手が震えていた。
「佳奈大丈夫?」
「うん…緊張しちゃって」
「僕も」
向かいに座っている浩ちゃんが言った。
「そのわりには、緊張してるように見えないけど」
「してるよ」
浩ちゃんはそう言うが、あたしからすれば冷静に見える。
「やべ…緊張してきた」
亮太は、手汗を拭きながら言った。
「そういえば、高橋って緊張しないよね」
浩ちゃんが聞いてきた。
「「確かに」」
佳奈と亮太は、あたしを不思議そうに見ながら言ってきた。
「まぁ、あたしも初めてライブする時は緊張してたし」
「慣れたの?」
佳奈が聞いてきた。
「慣れたって言うか……みんなが居るから緊張しないのよ」
「「「え?」」」
みんなは、驚いてあたしを見てきた。
「みんなに背中を預けてるから緊張したり不安になったりしないのよ」
「「「………」」」
何故か反応がない。
「つ、つまり、失敗を恐れずあたし達らしく演奏する。それが、あたし達“Sounds mind”なのよ」
「……お前凄いな」
亮太が微笑みながら、あたしに言ってきた。
「うん。凄いね」
「高橋らしいよ」
佳奈と浩ちゃんも少し微笑みながら言ってきた。
「なんで、みんな笑うのよ!」
「さぁーな。お前の背中を預かってる事だし頑張らないとな」
亮太が、あたしに言ってきた。
「そうだね。精一杯やるよ」
「……私、頑張るね!」
スルーされて話し進行してるし…!
「ちょっと、なんなのよ!」
「「「内緒」」」
みんなは、笑いながら言った。