君に幸せの唄を奏でよう。
あたし達は、ステージ裏で待機をしていた。
「みんな、準備はいい?」
あたしは、みんなに言った。みんなは、静かに頷いた。
「じゃあ…スタート!」
始まる---あたし達【Sounds mind】の世界が---!
あたし達がステージに上がった途端、会場に歓声が湧き上がった。
歓声を聞いて、あたしは胸が高まった。
あたし達は、スタンバイに入った。
あたしはアコギを肩に掛け直し、マイクの高さを調節した。
あ……いた。
音夜と智香を見つけた。毎回、欠かさず来てくれるので嬉しい。
みんなのスタンバイが終わったので、浩ちゃんに目で合図をした。
「1・2・3!」
浩ちゃんの掛け声で、あたしは足踏みをしながらアコギを弾いた。
一部の観客は、驚いた顔をして少し震えていた。恐らく、あたし達のライブを見た事がないからだろう。
無理もないわね。あたしは、歌いながら思った。
浩ちゃんのドラムは、シンバルとドラムの絶妙な音を叩き、そして身体に叩き込む。
亮太のベースは、低い音なのに激しい音の波を弾き、頭に叩き込む。
佳奈のキーボードは、2人の音を中和し激しい音に優しい音を絶妙に合わせて耳に通す。
このメンバーの“音楽”を聴いて、震えるのは当たり前。あたしも初めて聴いた時、震えてしまった。
これが、“Sounds mind”の【実力】だから。
特に、亮太と佳奈の曲は凄い。みんなを曲の世界に引き込む力がある。
あたしも歌っていて引き込まれてしまう。
みんなに2人の曲を聴いてもらいたいけど、時間が限られているので
前半は、亮太の曲。後半は、佳奈の曲と決めている。
まずは、亮太の曲から。
1曲目が終わったので、亮太に合図をした。あたしは、深呼吸をしマイクを握り直した。