【ND第3回】夏恋華~ナツレンゲ~
アイツの季節
甚平さん
風鈴が揺れる中。
縁側に座って。
すでに、なくなってしまったアイスの棒を舐めていると
「夏が来た」って感じ。
でも、今年の夏は“アイツ”がいないから。
どうも、夏を感じないんだ。
風鈴の音も。
アイスの棒の独特の木の風味も。
蚊取り線香の香りも。
花火の火薬の焦げ臭さも。
祭りではしゃぎすぎてはだけた浴衣も。
全部全部大好きなはずなのに。
何故か心が弾まないの。
それは
…───“アイツ”がいないからなのかな?