【ND第3回】夏恋華~ナツレンゲ~
「紗和(さわ)〜!みっちゃん来たわよっ」
お母さんの声が聞こえ、バタバタと足音をたてて階段を駆け降りた。
「みっちゃん、ごめん!」
今日は、みっちゃんとお祭りに行くんだ。
財布を甚平のポケットに入れて、慌てて家を飛び出した。
「あら、紗和浴衣じゃないの?」
そう言うみっちゃんは、黒の背景に大きな花柄の浴衣姿。
大人っぽくてすごくキレイ。
「うん、みっちゃんの隣にいたら浴衣姿もかすんじゃうし」
気合い入れたら虚しい、と言ったあたしにみっちゃんはため息を溢した。
「そうじゃないでしょ?」
「……」
みっちゃん鋭い。