【ND第3回】夏恋華~ナツレンゲ~




「藤井くーんっ!」



手を振って、駆け寄ると藤井くんはにっこり笑って小さく手を振ってくれた。


藤井君、いい人だな。



あたしには勿体ないくらいかっこいいし、頭もいいし、スポーツも出来るし、おまけに優しい。



ジョークだって通じるし、ノリだっていい。



爽やかボーイでモテモテな彼は、どうしてあたしなんかに告白したんだろう?



そう思ったときには、隣で歩いている藤井くんに尋ねてしまっていたんだ。



「藤井くんはあたしのどこが好きなの?」



って。



後から、物凄く恥ずかしいことを聞いているんだって気づいて慌ててやっぱいいって言ったのに、藤井くんは顔を真っ赤にさせながら答えてくれた。



「他の人のために怒ったり、泣いたり、笑ったり出来てすごく素直なところ」



藤井くん、いい人だな。



なのに、あたしはどうしてこの人じゃダメなんだろうか?



こんなにも大切にされているのに…





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