【ND第3回】夏恋華~ナツレンゲ~
「あたしも藤井くんの優しいとこ好きだよ」
そう言って、真っ赤な藤井くんの手を引いた。
あぁ、そうか。
今、気づいたよ。
「ねぇ。藤井くんは居なくなっちゃわない?」
「…えっ?」
「あたしの前から…この世から居なくなったりしない?」
あたしは、大切な人を失ってしまうことを恐れて人を信じることを忘れてしまっていたんだ。
…───でもね。
もう一度信じてみようと思うんだ。
「…紗和。
そんなのわかんねぇけど、俺はしぶといよ?俺のこと信じてみない?」
こう言ってくれる人がいるから。
「信じたい」