赤点彼女【短編】
赤点彼女
「きゃー」
私の悲痛な叫びが教室内に響き渡る。
他の生徒は、その様子に驚くこともなくただ流す人、呆れる人、ちゃかす人で分かれる。
「さくらー。また赤点?」
「毎度毎度、真面目にやれー」
そんな冷やかしの声に紙を渡した先生もため息をついた。
「桜井、お前進学するならもっと勉強しとけ」
先生の言葉はごもっともですが……、
正直耳にはあまり入っていません。
だって、だって……。
手がぷるぷると震える。
翼に殺されるー。
赤点がなかったら、夏休みの補講とかないから一緒に海行こうって約束してたのに。
だから絶対絶対今回は赤点なしって約束したのに。