赤点彼女【短編】
有り得な……。
「……さくら?」
「つ、翼っ!?」
教室に入って一番始めに目に入った……というか入り口にいたのは、
俺の愛しい愛しい彼女。
「何してんの?」
「翼こそ」
疑問に思うことはどちらも同じで結局答えが返ってこない。
ここは赤点者の補習なわけで、さくらがここにいるということはつまり、
「赤点……?」
指差して聞く俺に、さくらは戸惑いながら首を縦に振った。
……まじっすか。
つまり約束はどちらも守れてなかったということで、
責めることさえできない俺は次の言葉が出ない。