『あなた』へ
あの6月の事件の前に一度、職場のママからあの人結婚してるって聞いたんだけど大丈夫と聞かれたことがあった。



その言葉を聞いた時、俄かには信じられなかった。



(まさかぁ毎日私の家に来るのに結婚してるなんて嘘でしょ?



しかし、ママが使っている代行と彼の使っている代行と同じらしく、彼を送っていく家の前に子供用の三輪車が置いてあるというのだ。



人から聞いた話だけど確かな話、私は色々考え別れようと決心した。



その次の日の夜、私は彼に別れの話を切り出した。



『なんで?』



重く一点を見つめ私に聞いてくる。



私はママから聞いた話をして結婚しているかどうか問い詰めた。




『人から聞いた話信じるの?』




えっ?



『確かに昔付き合ってた人との子供はいる、だけどその人籍はいれてないよ

隠しててごめん、それは謝るよ』



真面目な顔でそう言われ私はすっかりそれを鵜呑みにしまった。



嘘をついてるなんてこれっぽっちも思わなかった。



人があんなに堂々と嘘がつけるものだとは知らなかったから・・・。
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