『あなた』へ
『はぁ〜、そんなに泣かれたらなぁ・・・わしもそんな鬼じゃない』



そう言うと、いきなり背中を向けバスタオルを渡してくれた。



『はよ、シャワー浴びてきぃ』



すぐシャワーを浴びに行った私が真っ先に考えたのは彼のことだった。



どうしよう・・・何て言えば・・・その間にも電話は鳴りつづける。



これ以上出ないのはまずいと思いとりあえず電話に出る。




『あんた、どこにいんの?』




彼は怒ってるときは必ず私のことあんたと呼ぶ。



私はそれが大嫌いだった。



『ママ達と少し飲んで帰るっていったじゃない』



心臓がギュウッと締め付けられながら平常心を装い答える。




『じゃ電話代わって』



(もう終わりだーー・・・)




『それは・・・無理・・・』



今すぐ泣き叫びたかった。ぅ゛あぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁぁ怒られる怒られる怒られる怒られる怒られる。



この頃から怒られることに異常なくらい恐怖を感じていた私は、怒られるとパニックになる傾向にあった。



『今すぐ家に帰って来い』



一言そういって電話を切られた。
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