『あなた』へ
家に帰ると私は彼がトイレに入っている間に包丁を全て隠した。



とりあえずこれで包丁を持ち出されない。



これが悪い夢なら今すぐ覚めてほしい。



神様がいるなら私を助けて下さい。



『ほんと、どうしてくれるの?』


まだ怒りが納まらないらしい彼はZippoのオイルを手に取った。



私にかけるために。



私は部屋の中を逃げ回った。



そんな無駄な抵抗をしてもすぐに捕まった。



頭からオイルをかけられた。



『ぅ゛ぇぐぅ゛ぇぐ』



さっきっから涙が止まらない。




『うざい!泣くなよ!お前が悪いんだろ!!』



そう言うとライターで私の右手の腕に火を付けた。



徐々に火が広がる。



私はそれをただ見つめる。



『ぁっぃょ・・・ぁっぃょ・・・』



私はこんな状況になってもどうしていいかわからず動けなかった。



勝手に火を消したらまた殴られるんじゃないだろうか・・・そんな恐怖で私の脳は洗脳されていた。
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