『あなた』へ
『ー・・・くそっ!!』



(えっ?)



彼が私に付いた火を消している・・・。



『ごめんね・・・ごめんね・・・ごめんね・・・』




謝りながら泣き崩れたのは私の方だった。



私はおかしくなっていた。



その証拠に火を付けた本人に火を消されただけなのに感謝の気持ちが芽生えていた。



『もう死ぬことも許さない、一生かけて償ってよ!!』



そんな言葉も優しさに聞こえた。



『一生かけて償うから』



人間ってこんなに簡単に洗脳できるんだ。



自分が自分じゃなくなっていく。



人によって作りあげられていく自分の人格はこの先長い間私を支配し続ける。



そうして長い夜が幕を閉じた。



本当の長い闇はこれから始まるというのにー・・・。
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