『あなた』へ
『おじゃまします』



彼が部屋に入って来て一歩一歩近付く。私はただただ震える。




怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い



彼がママの彼氏の隣に座るとママが話を切り出した。




『マヤから話は聞いたから、マヤは別れたいって言ってるよ』



沈黙が続く。



『マヤがそう言ったんですか?』



彼がそう呟いた。



『そうだよね?マヤ?』



ママが私に問い掛ける。



(私は・・・私は・・・)



色んな事が頭を過ぎる。



たった一言別れたいと言えばいいのに。



(何を恐れているの?それで総てが終わるなら簡単なことじゃない?)



(ここで別れられてもあいつはいつでも私に接触できる。今の状況と何一つかわらないじゃない!!)



(そもそもあなたが原因でこうなったのよ。あなたが彼を壊してしまったのよ)



(勇気を出して、みんなあなたの味方じゃない。きっと大丈夫)
< 39 / 64 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop