《完》極上☆SWEETS!!② 〜蜜色の凱旋門〜
でもそんな空気は、静かに自動
ドアを抜けて店内に足を踏み
入れてきた新しい客によって、
瞬時に掻き消された。


「え――矢崎圭吾!?」


あたしと一緒にカウンターに
立ってた仲間が、思わず声を
あげてる。


離れたカフェホールの方からも、
何人か驚きの視線を向けてた。


もちろんゼンゼンわかってなさ
そうなコも居たけど、同業だけ
あって顔くらいは知ってるコの
方が多いみたい。



矢崎さんは、そんな空気に気づい
てないはずはないだろうけど、
素知らぬふりでスタスタと歩いてくる。


そう――あたしの居る、カウン
ターの方に。


「……いらっしゃいませ」


店に入って来られたからには、
こう言うしかない。


硬い声で挨拶したあたしに、矢崎
さんはいつものようにメガネの
奥の目を細めて、


「コンバンワ、亜莉紗ちゃん」


そう言って、ニッコリと笑った。
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