BLOOD
-第2章-
「奈緒、奈緒。」
「(誰かが泣いてる。)」
意識が朦朧とするなか、美緒はぼんやりと考えた。
「目を開けて!」
「(あぁ…泣いているのは小さい頃の私。)」
一生懸命、小さな手で誰かの身体を揺すって泣き叫ぶ少女は、小さな頃の美緒。
小さな手には、べっとりと真っ赤な血がついている。
「(あぁ…これは、奈緒が死んだときの夢。)」
双子の姉が死んだとき、美緒は隣にいた。
奈緒の身体がだんだん冷たくなるのを、美緒はただ見ているしかできなかったのだ。
「(あれ?)」
しかし、この夢は美緒の記憶と少し違っていた。
奈緒が死んだとき、美緒の周りには誰もいなかった。
なのに、この夢では美緒の側に一匹の犬が佇んでいる。
それは、先ほど病院内でみた金色の髪を持つ犬だった。
「彼女を殺したのは吸血鬼。貴方と彼女を取り違えたのでしょう。」
犬の口が開き、言葉が発せられた。
小さい頃の美緒は驚きもせず、小首を傾げて犬を見ただけで、驚いたのは夢を見ている美緒の方だった。
「わんちゃん、さっきは助けてくれてありがとう。」
そう言い、血のついた小さな手で美緒は犬を優しく撫でる。
犬はくすぐったそうに身をよじると、美緒の額に前足を当てた。
「(誰かが泣いてる。)」
意識が朦朧とするなか、美緒はぼんやりと考えた。
「目を開けて!」
「(あぁ…泣いているのは小さい頃の私。)」
一生懸命、小さな手で誰かの身体を揺すって泣き叫ぶ少女は、小さな頃の美緒。
小さな手には、べっとりと真っ赤な血がついている。
「(あぁ…これは、奈緒が死んだときの夢。)」
双子の姉が死んだとき、美緒は隣にいた。
奈緒の身体がだんだん冷たくなるのを、美緒はただ見ているしかできなかったのだ。
「(あれ?)」
しかし、この夢は美緒の記憶と少し違っていた。
奈緒が死んだとき、美緒の周りには誰もいなかった。
なのに、この夢では美緒の側に一匹の犬が佇んでいる。
それは、先ほど病院内でみた金色の髪を持つ犬だった。
「彼女を殺したのは吸血鬼。貴方と彼女を取り違えたのでしょう。」
犬の口が開き、言葉が発せられた。
小さい頃の美緒は驚きもせず、小首を傾げて犬を見ただけで、驚いたのは夢を見ている美緒の方だった。
「わんちゃん、さっきは助けてくれてありがとう。」
そう言い、血のついた小さな手で美緒は犬を優しく撫でる。
犬はくすぐったそうに身をよじると、美緒の額に前足を当てた。