BLOOD
そんなブラウンに、美緒がとうとう切れた。

「頭を上げなさい!」

美緒の一喝に、ずっと頭を下げ続けていたブラウンがのろのろと頭を上げた。

「そんなに、私を守れなかったことを悔やむなら!これからはちゃんと守りなさい!」

逆プロポーズのような言葉を、眉を吊り上げ怒鳴りながらいう美緒。

「は…はい。」

そんな美緒に圧倒されながらも、ブラウンは返事をする。

「よし!」

ふんっと鼻を鳴らし、美緒は満足気にそう言った。

「じゃあ…帰ろうか。お父さん達のお葬式とかの準備しなきゃ。」

すっくと立ち上がると、美緒は扉に手をかけた。

「美緒姉が怒らすと一番怖いんだ。怒らせない方がいいよ。」

美緒が部屋を出てすぐ、里緒がブラウンに耳打ちでそう告げると、ブラウンは苦笑いをして頷いた。

「二人とも何してるの?早く早く!」

前を歩く美緒に急かされ、二人は互いに顔を見合わせて笑うと走り出した。
家への帰路は真っ暗で、里緒はタクシーに乗ってすぐ眠りについてしまった。
そんな里緒の頭を膝に乗せ、美緒はぼんやりと窓の外を眺めていた。

「そういえば…。」

ブラウンが唐突に口を開き、美緒は窓の外からブラウンに視線を移した。
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