BLOOD
「清四郎!?」

「はい、おおきに。」

ブラウンに清四郎と呼ばれた運転手は、美緒に手を差し出して握手を求める。
美緒は訳がわからず、ただ清四郎を見つめていた。

「何故お前がここに居る!?」

「わいも派遣されたんどす。それよりも家に着いたんどすから、降りたらどないどすか?」

清四郎にそう促され、美緒たちはタクシーから降りた。
鍵を開けようと、鍵穴に鍵を差し入れて廻そうとした瞬間、扉が勢いよく開かれた。

「キャッ。」

美緒が短く悲鳴をあげ、おぶっていた里緒が美緒の背中から落ちた。
重いっ切りお尻を打った里緒が、目を覚まし何事かと辺りを見回す。

「大丈夫ですか?」

ブラウンが里緒を助け起こし、里緒はお尻を摩りながら立ち上がる。

「お帰りなさい!帰りが遅いから心配したのよ。」

扉を開けて出て来たのは、美緒と里緒の母親である八重だった。

「お母さん?」

寝ていて話を聞いていなかった里緒が、目を丸くして八重を見つめる。
そんな里緒を促して、美緒は家の中へと入っていく。
あとにブラウンと清四郎も続き、八重が扉を閉めた。

「あら、清四郎も来たのね。ブラウンお疲れ様。」

「お母さん、二人を知ってるの?」

にっこり笑って二人に挨拶する八重に、美緒が聞く。
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