BLOOD
「宿題しない子の誕生日会はお姉ちゃんしないからねー?」
「誕生日なんだから、今日くらい大目に見てよね。」
テレビから視線を美緒に向けた里緒がそう言えば、美緒は口を尖らせて黙ってしまった。
口の弱さは父親譲りだったが、とうとう弟に負けるまでになってしまったことに、美緒は情けなさと悔しさで溜め息を吐いた。
それからは、美緒は何も言わなかった。
というよりも、何も言えなかった。
キッキンを行ったり来たりしながら、ケーキを作ったり、チキンを焼いたりと美緒は大忙しだったからだ。
「お父さん達、遅いなぁ・・・。」
作業をしながら、時計をちらりと見た美緒が呟いた瞬間、けたたましい音を上げて電話が鳴り響いた。
「里緒ー、電話出てー。」
「えぇー、今いいとこなのに!」
器用に指を動かしてゲーム機のコントローラーを弄る弟を叱って、美緒は受話器を取り耳に当てた。
「もしもし、水島さんのお宅でしょうか?」
切羽詰まった男性の声がして、美緒は戸惑いながらも返事をした。
「そうですが・・・あの、どちら様ですか?」
そう問うと、男性は落ち着くように咳ばらいを一つしたあと語り出した。
「私は警視庁巡査、小野寺 仁です。実は、あなたのお父様とお母様が・・・。」
そこから先は美緒の耳に入らなかった。
「誕生日なんだから、今日くらい大目に見てよね。」
テレビから視線を美緒に向けた里緒がそう言えば、美緒は口を尖らせて黙ってしまった。
口の弱さは父親譲りだったが、とうとう弟に負けるまでになってしまったことに、美緒は情けなさと悔しさで溜め息を吐いた。
それからは、美緒は何も言わなかった。
というよりも、何も言えなかった。
キッキンを行ったり来たりしながら、ケーキを作ったり、チキンを焼いたりと美緒は大忙しだったからだ。
「お父さん達、遅いなぁ・・・。」
作業をしながら、時計をちらりと見た美緒が呟いた瞬間、けたたましい音を上げて電話が鳴り響いた。
「里緒ー、電話出てー。」
「えぇー、今いいとこなのに!」
器用に指を動かしてゲーム機のコントローラーを弄る弟を叱って、美緒は受話器を取り耳に当てた。
「もしもし、水島さんのお宅でしょうか?」
切羽詰まった男性の声がして、美緒は戸惑いながらも返事をした。
「そうですが・・・あの、どちら様ですか?」
そう問うと、男性は落ち着くように咳ばらいを一つしたあと語り出した。
「私は警視庁巡査、小野寺 仁です。実は、あなたのお父様とお母様が・・・。」
そこから先は美緒の耳に入らなかった。