BLOOD
酷く耳鳴りがする。
足元がふわふわと宙に舞う感覚。
次の瞬間、美緒はその場に座り込んでしまった。
里緒と繋いだ手がするりと離れて、虚しく床に落ちた。
「う…そ。お母さんと…お父さんが?」
わなわなと震える唇から洩れる言葉は、自分自身に言い聞かせているように小さく儚かった。
「ご両親は飛び出してきた猫を守り、ハンドルをきったところ…。」
医師に連れられて死体確認にいく途中、美緒の頭は壁に打ちつけられているかのようにガンガンと痛み、医師の話など聞き取れなかった。
静かな扉を開く音で、美緒は我に返った。
いつの間に辿り着いたのか、里緒といつの間に手を繋ぎ直していたのか、美緒には考えても思い出せなかった。
「お父さん…お母さん。」
白いシーツを顔までかけられた二体の人間。
眠るようにベッドの上に横たわっていた。
美緒は里緒から手を離すと、ふらふらとベッドに近付き、白いシーツをそっと人間の首元まで下ろした。
「ヒッ…。」
美緒は口を押さえて、出そうになった悲鳴を押し殺した。
「美緒姉?」
美緒が何を見たのか、里緒は自分も見ようと美緒の前に進み出て背伸びをしようとした。
次の瞬間、里緒は美緒に抱きしめられて動けなくなってしまった。
足元がふわふわと宙に舞う感覚。
次の瞬間、美緒はその場に座り込んでしまった。
里緒と繋いだ手がするりと離れて、虚しく床に落ちた。
「う…そ。お母さんと…お父さんが?」
わなわなと震える唇から洩れる言葉は、自分自身に言い聞かせているように小さく儚かった。
「ご両親は飛び出してきた猫を守り、ハンドルをきったところ…。」
医師に連れられて死体確認にいく途中、美緒の頭は壁に打ちつけられているかのようにガンガンと痛み、医師の話など聞き取れなかった。
静かな扉を開く音で、美緒は我に返った。
いつの間に辿り着いたのか、里緒といつの間に手を繋ぎ直していたのか、美緒には考えても思い出せなかった。
「お父さん…お母さん。」
白いシーツを顔までかけられた二体の人間。
眠るようにベッドの上に横たわっていた。
美緒は里緒から手を離すと、ふらふらとベッドに近付き、白いシーツをそっと人間の首元まで下ろした。
「ヒッ…。」
美緒は口を押さえて、出そうになった悲鳴を押し殺した。
「美緒姉?」
美緒が何を見たのか、里緒は自分も見ようと美緒の前に進み出て背伸びをしようとした。
次の瞬間、里緒は美緒に抱きしめられて動けなくなってしまった。