年上の事情
その前にちゃんと言わなきゃ。

私もずっと憧れてました…って。


緊張で震えてる場合じゃないって。




「あの―――――――」





自宅前に車を止めた、と同時にシンヤさんの手が私の肩にかかってた。


ううん、何だかあったかい感触。


シンヤさんの睫毛って、意外に長いんだ。



そんな事、考える余裕すらない程の一瞬。

唇が重なってた。


シンヤさんの顔が離れた瞬間にわかった。

今のって…、もしかして…


「これからよろしくね。ゆいちゃん」



目眩がした。

初めて見て、飛び込んだ大人の世界に

私の胸の高鳴りは止む気配がなかった。


























毎日が楽しかった。

まるで輝き出したようだった。

両親に

「携帯代が高い」だの
「毎日毎日夜遅くまで遊んで」だの

怒られようが気にならなかった。

シンヤさんがいればそれでよかった。

宿題も終わり、私は毎日のようにシンヤさんに会った。

「こんなに毎日会って、大丈夫なんですか?」

「俺一人暮らしだし、家だって超近いから」




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