年上の事情
夏休みが空けたと同時に

私は髪の毛を黒に戻し、ピアスを外し

久しぶりに会う友達に変化を悟られないようにした。

思春期って不思議なもので

変わってく自分自身を友達に知られるのが恥ずかしかった。

でも

「ゆい、雰囲気変わったね」

「メイクの仕方、変えた?」


友人も、みんな「女の子」から「女」に脱皮して行く。

そんな中、自分以外の人間の変化にも鋭くなる。

「女の勘」というものが研ぎ澄まされて行く。



「何でもないよ。日焼けしたからそう見えるんじゃないかな?」

「そう、かな?言われてみれば、ちょっと妬けた?」




誰も知らない。

知るわけない。

私はこの夏、急激に大人になった。

















そんな私に、いち早く冬が来たのはまだ休みボケが抜け切らない9月の半ばの事だ。





「別れよう」

学校帰り、私の事を迎えに来てくれたシンヤさんが

車の中で私にそう告げた。


「え…?何で?」


思ってもいない言葉だった。

別れようって、どうして?



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