年上の事情
「ゆいって呼び捨てでいいよ」

「私、中里アサミ。よろしくね~」


アサミとは、社会人になった今でも親友だ。





高校での私は、クラス内のグループでいうとギャル組に入っていた。

確かに、目の回りはラインで真っ黒だし

制服だって着崩してるし、校則違反とわかっててもルーズソックス履いてたし。


「っていうか、うちの高校、本当いい男いないよね~」

「そうだよね~、一応共学らしいけど、クラスは女子ばっかだし~」

昼休み、お弁当を食べながら話す内容は、やっぱり恋の話。

恋の話は正直、苦手なんだ。




家政科は女子しか入試を受けれない。

一応共学だし男子生徒もいる。

男子生徒は家政科には入れなくて、食品製造科や園芸科に回されるのだ。

しかも校舎は別。


「ゆいもそう思わない?」

「私、同い年に興味ないから、ここで見つける気はないんだ」

「え?じゃあ、どんな人がいいの?」



シンヤさんを引きずってる気はないけど

思春期に知った大人の世界。

私はその世界に酔っていた。




「絶対年上がいい。私の知らない世界を見せてくれるような人」



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