年上の事情
高校に入ってすぐ

私がしたかったのはアルバイト。

欲しい服や欲しいバック

友達と遊びに行くお金

携帯だって新しくしたい。


そんな私が始めたアルバイトは、近所にある焼肉屋さん。

個人経営の店だし、昔から知ってるお店だし

何かと融通が聞きそうだったから。

それに、ここのママ人手不足だって言ってたし。

両親の口聞きで私はその焼肉屋さんでアルバイトすることになったのだ。

時給は900円。

高校生にしてはいい方だし、家が近いから夜遅くなっても大丈夫そうだし。


最初は皿洗いや片付けと雑用を任せられてけど

段々、お店の事を任せてもらえるようになった。



(今じゃ、休みすら貰えないほどのベテランにならせてもらったけど…)




そんなある日、うちの店に新しい新人さんが入って来た。

珍しいなぁ。

「主に厨房を担当してくれる男の子が欲しかったんだ」


うちの店、アルバイト募集の広告なんか出してたっけ？

ま、私と一緒で誰かの口聞きで入ったのかな？



その日のバイト、新人さんが初出勤して来る日だと聞いて

ちょっとワクワクしてたのに



「初めまして。涼です」





先輩として、新人さんの顔は見とかなきゃと思ったんだけど


無愛想、極まりない男だ。
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表紙・目次

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