年上の事情
高校卒業後、社会人になった途端いろんな男性と知り合う機会が増えた。

社会人ともなれば、私のメイクの腕もだいぶ上がって

正直、言い寄ってくれる人も少なからずいた。

ずっと夢に見てた年上の男性。

でも

「ゆいさんって素敵な方ですね。今度食事でもどうですか?」

「ゆいさんの事がもっと知りたいので、よかったら後日2人切りで会いませんか?」

「相沢さんは、恋人いらっしゃらないんですか?」



全部全部

嘘に聞こえてしまう。

疑ってしまう。




それでも

「ありがとうございます。そんなふうに思ってもらえて嬉しいです」

さすが年上。

さすが大人、口説き方もスマートだ。

口説かれて悪い気はしないから、こちらも一応営業スマイルで交わす。


本気にはならない。

本気になればまた泣きを見る。

こいつらの本性はわからない。

持て囃しながら、心の中では何を思ってるんだか…


それでも

年上の男性に口説かれるのは気持ちがいい。



本当の恋の仕方なんてとっくに忘れた。


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