年上の事情
そうだよね。

あの時は、死んじゃうんじゃないかと思うぐらい

泣いたし落ち込んだ。

大切な初めて…をあんな奴に捧げただなんて。


けど

夜中こっそり家を抜け出たり

ピアスしたり

必死にメイクの練習をしたりしたあの中二の夏。


私は確かに、幸せだった。

楽しかった。




「今度は俺と楽しい思い出、作ろうよ。ね?」




本当にこの人、年上?

絶対私の方が上に見られちゃうよ。

っていうか、この人

子供みたいで可愛い。





拓也さんは、私の理想通りの人だった。

大人で、しっかりしてて、私の知らない世界をたくさん教えてくれた。

私も、拓也さんに似合う女性になりたくて

必死に大人になろうとした。

金髪に近かった髪の色を黒く染め

ダイエットもした。


少しでも、拓也さんに近づきたくて。

お似合いだと言われたくて。



「ねぇねぇ、拓也さん!私ね、3kg痩せたんだ!」

「へぇ。俺足フェチだから、あとマイナス5kgは頑張れよ!」


うわ、厳しいなぁ。
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