年上の事情

拓也さんは、お酒の配送業をしていて

早朝から夕方までいろんなお店にお酒を運んでる。

最悪な時には、隣の県にまで行ったり深夜までかかったり。

何とか拓也さんのストレスを解消したいと思ったけど

「ゆいちゃんに言ってもわかんないよ。気にしないで」

私って、そんなに役立たずなのかな?

そりゃ、拓也さんみたいに真面目な社会人じゃないけど…

愚痴や話を聞くぐらいは出来るのに。




何だろう…

何でこんなに淋しいんだろ?




私が年上を好きな理由は

しっかりしてて、頼りがいがあって――――――――…

そーいう大人な男性と付き合いたいと願ってたけど

こーいう事なの?

これが現実?



まるで、私はいらないみたい。

いなくてもいいみたい。



付き合って1年ぐらい経ったある日、そんな思いがふっと過ぎった。

その頃から、私達の関係に亀裂が入って来たのだ。




確かに拓也さんの仕事は大変だと思う。

でも、私には何も言ってくれず、ただただ疲れ顔を覗かせる拓也さんにイライラしだしてたのだ。

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