年上の事情
「デートの時ぐらい楽しそうにしてよ」

「仕方ねぇだろ…昨日あんまり寝てねーんだよ」

「そんなにハードだったの?」

「お前に言ったってわかんねーよ」




ただ、拓也さんの役に立ちたかった。

その思いが空回りして

せっかくのデートの日でも

しなくていい喧嘩にまで発展させて

結局険悪ムードでバイバイして。

今度こそ笑顔で…なんて思っても

本音や本心を塗り固め隠しただけに過ぎない。

いつも最後には剥がされ、バレて、また喧嘩。



こんな重苦しくギスギスした空気の関係が長く続くわけなかった。

新しい年が明けたある日





「別れよう。お前とじゃ無理」




約2年半。

厳密に言えば、2年と4ヶ月。


私の2度目の恋も終わった。




理由があるだけマシだ。

最初の時のように

最悪な理由じゃないだけマシだ。


いい思い出が出来た。



けど

拓也さんみたいに

弱虫な私の心を見抜いて

愛してくれる人なんて

この先、きっともういない気がした。


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