年上の事情
初恋
私は親に「無駄遣いしないから」という約束で携帯をねだった。

みんなみたいにオシャレな携帯じゃなくていい。

ただ、携帯というものが持ちたかったのだ。

何かと物騒な世の中。

両親は私に、1番安いプラン、1番安い機種を買ってくれた。




「わぁ、ゆい。携帯買ったんだ!メアド教えてよ」

学校に持って行くとギャルの子達が一斉に私に群がった。

「えっと…ちょっと待ってね!」

当時の携帯には赤外線なんて付いてなかったから

自分のアドレスを紙に書き友達に渡した。

「やった。夏休みに入ったらメールするね。遊びに行こうね」

「うん」


嬉しい。

地味で目立たなくて、クラスにも馴染めてなかった私が

こんなふうになれるなんて。


でも、メールや電話し過ぎたら料金やばいから気をつけなきゃ。


その日の授業中、クラスのいろんな友達からメールが来た。



『これ、私のアドレスだよ(^O^)登録しといてね☆真由美』

『恵だよ☆登録よろしく♪』



うわぁ、一気に6通もメール来てる。

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