秘 め ご と 。
けっこう早めの速度で歩いていたから、もうそろそろ半分くらい。
何の意地を張ってるのか、常にちょっとだけ前を歩く綾瀬くんに対抗して静かな廊下を全力で走る。
「ずっりいー!」
いきなり走ったため、出遅れた綾瀬くんが大声を出す。
まあ、ここ東廊下だし。
誰もいないから大丈夫だろうけど…って。
そっか…。校内一周だから数学準備室も通るんだ。
でも、会える確率なんて少ないなとか考えながらも階段を駆け上がっていると
あっという間に綾瀬くんが追いついて来た。
…ち。さすが男子。何部か知らないけど。
「へへんっ!おっ先〜」
とゆう、綾瀬くんの間抜けな声を聞きながら私も離されまいと必死で階段を上った。