Secret Kiss
そんなあたしに唯一許された男がいた。
名前は松居翔馬。
小学校のときからの幼馴染。

翔馬は元気で活発。
なによりサッカーが上手い。
顔はそこそこいいし、スタイルも抜群だからよく女子にモテてた。



でも、あたしはそんな翔馬の何気に優しいところが好き。

あたしが彼氏のことを言ったら「俺今からそいつ殴りに行く!」とか言ってくれた。
翔馬のおかげで元気を取り戻せた。
元のあたしに戻るのは難しいけど翔馬がいてくれたからこそ立ち直れたんだと思う。



高校に上がっても女子に大人気。
サッカーも続けていてオファーが殺到するぐらい上達していた。



あたしは翔馬のことは好きだけど恋愛対象として好きかは分からない。
でも、あたしと翔馬は不釣合いだと思う。
クラスのムードメーカーで誰とでも仲良く出来ちゃう翔馬に比べてあたしは孤立まではいかないけれど、ほとんど図書委員でお昼休みは潰れちゃうからクラスの子達とあまりしゃべらない。


それに…。
何よりも、あたしは過去を引きずっていて上手く付き合えそうにない。
だから翔馬に迷惑を掛けたくない。
あたしは翔馬と付き合うつもりは元々なかった。



しかし…。
あたしに思いもよらないことが起こった。
そんなことを考えていた自分がバカみたいだった。
あたしは自分の気持ちにちゃんと気付いてあげられなかった。



でも…。
本当の気持ちが明らかになるとはもっと思わなかった。



あたしは恋愛をしないって誓った。
そんな自分の法律を簡単に破るときがくるとも思っていなかった。
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