駆け引き×スクープ!!
†side:壱十†
ーキィッ…バタン!
工場に着き、
車から出る。
見れば、
工場は火に包まれていた。
炎が工場を包み込み、
まるで生き物の様に工場を覆う姿はまるで魔物だ。
…夏梨名ちゃんはー!?
野次馬の中から辺りを見回す。
それらしき人物は見当たらない。
「神田!」
神田を呼ぶ女の声。
「あ、赤川!!」
赤川?
「神田!月詠の車がこの近くにあったの!!携帯も出なくて……!」
「えぇ!?も、…もしかして、工場のなか…?とか……」
!!
「嘘!嫌よ!月詠…!」
「赤川!?ドコに行くんだよ!?」
「離して!月詠を助けんのよ!!月詠が死んじゃうなんて、絶対に……ぃや!!」
ボロボロに泣く女性
それを必死に止める神田
「つきよぉ…!!」
ワッ…と、
崩れ落ち、泣く
………
「神田、他の警察呼んだか?」
「えぁ?ぁ、はい!!」
「わかった、なら応援が来たら周辺をくまなく探せ。勿論、この野次馬の人間もな。石谷達を見たら、とっ捕まえろ。」
そう言って、
スーツの背広を脱ぎ捨て、ネクタイを緩めた。
「先輩!!?何する気なんスか!?」
「助けにいく」
「夏梨名ちゃんをですか!?」
他に誰がいんだよ
「で、でも、中にいないかもしれないんスよ!?」
「だとしてもだ。いたら取り返しの付かないことになる。」
「…貴方、死ぬ気?」
泣いていた彼女が顔を上げる