先生の秘密
「お前なぁ…!」
「だって、ケンちゃん意地悪するんだもん!こんなとこ柄じゃねぇって言うんだもん!」
「そんなのいつものことだろ?いちいち気にしてんじゃねぇよ。大体、あいつがそういうやつだって知ってて連れてきたんだろが」
「でも、でも…!ボランティアなんかやってられっかって!ガキのお遊びにゃ付き合ってらんねぇって!」
なるほど、この双子は多分、シスターに会いに来ただけじゃなく、賛美歌のことを知っていて孤児院の子供達にボランティアに来たってところか。
そういう気持ちはありがたい。
嬉しいのだけれど。
「気持ちは嬉しいわ。でもね、椿。ここは孤児院なの。普通の保育園や幼稚園じゃないのよ。貴女が思っているよりも、子供達は繊細で臆病、そんな簡単なボランティア感覚で子供達と接して欲しくはないの。ここにいる子達はね、皆私の天使達。別に貴女が信用できないわけじゃないのよ?だけど、やっぱり触れ合うのも遊ぶことも、それなりの覚悟が必要なの」
ちらりと子供達の方を見れば、一番の年長であるクルリちゃんが他の子達を守るように囲んでいる。
その純粋な瞳には、うっすらとした涙。
他の子供達についても、よく分からないような表情をしながらも、何となく不安そうだ。