先生の秘密
私にも、その気持ちはよく分かる。
それは、多分聖やはつかも感じていることだろう。
心や身体に大きな傷を負った私達だからこそ、人よりも他人の感情に敏感で、臆病で、繊細だ。
傷付きやすいし、何よりも過去を恐れている。
そんな私達にとって、ボランティア精神でやってくる大人の対応に、知らず知らずの内に古傷をえぐられていることだってある。
同情だって、同じだ。
「……、それは」
「ごめんなさいね」
シスターは、本当に申し訳なさそうな顔で頭を下げる。
「や、やめてください!こいつらの我が儘ですから…。お騒がせしてすみませんでした」
先生は慌てたように両手でシスターを制し、同じように頭を下げた。
「ごめんなさい…。私、何にも分かってなかったよ…」
「シスターに、助けてもらったのに」
双子はそれぞれそう呟く。
考えれば、もう一人の連れの人は、このことを理解していたから、双子を止めたのかもしれない。
もしそうなら、とんだとばっちりだったわけなんだけど。