先生の秘密
そんなわけで、私はまだ誰もいない寮内を歩き回る。
はつかは、今日から部活があるらしく朝一で学校に向かっている。
もうそろそろ、バスケの新人戦が始まるらしい。
特に崎浜高校のバスケ部は、県内でも有数の強豪校として人気がある。
その分部員だって多いから、はつかはレギュラー入りのために今必死で練習に励んでいるのだ。
聖はといえば、彼女は彼女で色々と事情があり、駅前の喫茶店で終日バイトをしている。
といっても、曰く接客には向いていない性格ということは自分でも理解しているから、厨房での仕事しか有り得ない、らしい。
聖の容姿だったら、ただ立っているだけで集客は望めるだろうに。
何度も言うが、聖は外面だけなら、完璧なのだ。
多分、それはただの建前で、聖の好きなことをやりたいだけだと思うのだけど。
何たって、彼女の将来像は一流のパティシエなのだから。
聖の作るスイーツは、喫茶店でも看板メニューとして取り扱ってくれているらしい。
店長にも可愛がられていて、卒業した後は海外で修行し、店長の知り合いが切り盛りしているパティスリーで就職する算段もついているのだから、脱帽ものだ。