先生の秘密
「じゃあ、保健室は開けておくわ。あとは好きにしていいから、戸締まりはきちんとして帰ってね」
不安げな私の表情を読み取ったのだろう。
ゆかりちゃんは、優しく微笑むと恐らく保健室の鍵をベッド脇の机に置いた。
好きにしていいと言っているあたり、ゆかりちゃんのお人よしさが出ている。
多分、養護教諭として私を保健室から出すわけにはいかなくても、見逃してはくれるのだろう。
ガラッ、
「おっと…!」
ゆかりちゃんが扉に手をかける直前、ちょうど扉を開けて入ってきた人物に、私は目を丸くした。
「つ、津川くん…!?」
それは津川くんも同じだったようで、驚いたように目を見開きその場に固まっている。
「ん?なになに二人とも知り合いー?怪しいねー」
津川くんの後ろからひょっこりと顔を出した、派手な外見の少年が、私と津川くんを見比べてニヤニヤと笑っている。
「あら、津川くんと支倉(ハセクラ)くんじゃない。珍しいツーショットね」
「はいー!もうゆかりちゃんに会いたくてダッシュしてきちゃいましたー!」
ビシッと敬礼する派手な男子は、何だろう、どこかで見たことがあるような…。