先生の秘密


「んー、俺の顔に何かついてる?青葉チャン」


「あ、いえ。すみま…」


はた、と動きを止める。


顔を上げると、支倉さんはニヤニヤと笑っており、津川くんは無表情のまま、ゆかりちゃんは不思議そうに首を傾げている。


どうして、私の名前知ってるんだろう。


津川くんがわざわざ私の名前を支倉さんに教えたとは考えにくい。


「そんなに不思議ー?俺は一応、この学校の全校生徒の名前を記憶しているよ」


「ぜ、全校生徒…!?」


崎浜高校の全校生徒って、約1000人近い人数の顔と名前を覚えているのか。


「それに、青葉チャンの名前は何かと耳に入ってくるからねー」


「え?」


絵に描いたような平凡な私が?


噂されるような行動なんてしてないけど。


「二年の有名人二人といつも一緒にいるんじゃあねぇ」


ゆかりちゃんの苦笑とともに吐き出された台詞に納得。


聖と初夏は二年の中じゃ群を抜いて目立つ。


聖は崎浜三大美女の一人だし、初夏は稀に見るスポーツ界の女王だ。



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