先生の秘密
「って結局、内海先輩のこと言えなかった…」
補習終わり、
もう一度勉強しようと立ち寄った図書館で、私はようやく思い出した。
このままズルズルと長引かせるわけにはいかないが、やっぱり嬉しそうに先輩のことを話す先生を見ていると言い出しにくい。
先生から貰った問題集を開きつつ、重たいため息を吐き出す。
先生の恋を応援してるなんて、それだけでも私らしくない。
とにかく面倒なことが嫌いで、それと同じくらい恋愛も嫌いだった。
「何やってるんだろ、私」
先生の好きな人が、よりにもよって生徒会長で、その好きな人が、よりにもよって私の大好きな恩人で。
内海先輩にだって、友達になろうと言われたけど、私は内海先輩の恋を応援なんてできない。
ましてや、霞さんとなんて。
私だって霞さんには感謝してるし、幸せになって欲しい。
けど…。
ウワアァァ、と頭をかきむしる。
どうして当人じゃない私が、こんなに悩む必要があるんだ。