先生の秘密
「いやあのおっしゃっている意味が」
「確かに俺は、内海が好きだ」
開き直ったー!?
真面目な表情で言ってのける台詞にやや慄く。
正直とっても気持ち悪い。
「だが、問題は相手が生徒だという恐ろしい事実だ」
いや、恐ろしいって…。
問題はそこじゃない気がするんだけど。
「向こうにとっても、教師という存在は近くて遠い、つまりだ」
そこで、勿体振ったように人差し指を立てて顔を近づけてきた。
無駄に端正な顔立ちのせいで、凄い迫力だ。
実は、ナルシストなんじゃなかろうか。
「協力してくれ!」
端的すぎる!
「協力って、私に内海先輩との仲を取り持てとでも言うんですか!?」
「まぁ、簡単に言うとそうなるな」
「無理ですよ、嫌ですよ!そもそも、教師と生徒の恋なんて、マズイですよ!ばれたらどうするんです!?」
「うるせぇなぁ、耳元で叫ぶなよ」
特に気にした様子もなくつまらなさそうに耳をほじる先生の姿に、本当にこの人は自分が言っている意味が分かっているのかと思ってしまう。
「別に、内海が在学中に告白するつもりなんてねぇよ」
「は、はぁ?じゃあどうして協力する必要があるんですか?」
「だから、内海に俺を意識させることが目的なんだっつの」
「………意識させて内海先輩が告白するのを待つ、ってこと?」
「あー、まぁ…」