先生の秘密
第四章 早くもライバル出現!?
あの入学式から早、一ヶ月。
特に何の進展もなく、先生からの相談を受けることもなく、平和な毎日が過ぎていた。
変わったことと言えば、三人の新任教師の内、もう一人を知ることになったくらいだ。
「僕の名前は、筑波大翔です」
大翔と書いて、はるとと読むらしい。
藤島先生とは違った、物腰の柔らかい優しげな大人の雰囲気にクラスメートの大部分が陥落していったのは、言うまでもない。
藤島先生ほどの華やかな美形というわけではないが、知的で理性的、素朴な美しさを持っていた。
一瞬、この学校は顔で教師を選んでいるのかと思ったくらいだ。
あの理事長ならやりかねん。
学級委員長である愛川さんが、わりかしテンション高めで筑波先生を学校案内していた。
ちなみに筑波先生の担当は、国語だ。
実を言うと、私の得意科目は国語である。(言ったような気がしないでもないけれど)
そんな訳で、筑波先生には好感が上がる。
別に藤島先生が嫌いという訳でもないのだが、やっぱり自分の嫌いな教科を担当しているとなると認識は必然的にマイナス方向に行くのは致し方ないと思う。
しかし珍しいことに一番騒ぎそうなはつかちゃんは、終始不機嫌そうな表情を隠そうともしていなかった。
曰く、
「あの先生はダメ。何考えてるか分からないし、打算的な香りがする。青葉も聖も安易に近づかないようにね!」
らしい。
とてもはつかの言うような人には思えないが、はつかはああ見えて人を見る目は誰よりも長けているのだ。