先生の秘密
私も、いくら好きな教科の担当とはいえ、はつかの忠告を無視する気は毛頭ない。
私のモットーは平和な学生生活であって、自分から面倒事に首を突っ込むつもりもない。
まぁ、先生のような人が私みたいな平凡人間に興味を持つこともないだろうから、心配する必要もないと思う。
藤島先生じゃあるまいし。
どちらかというと、はつかも藤島先生の方を警戒するべきだと思うけれど、悲しいかな、はつかは俺様や無気力イケメンがタイプなのだ。
全く理解できない。
いや、聖のブス専もなかなかではあるけど。
「青葉、目に鼻くそついてるわよ」
「はっ!?」
聖の辛辣な言葉の暴力に思わず反応してしまった私を、隣の席ではつかがとても冷めた表情で見ていた。
聖の背中越しに当たる向かいの席の女の子が、可哀相にすすっていたうどんでむせている。
恨むなら聖を恨んでくれ。
「オネエサン、バカナジョークハ、オヨシヨ」
「何故に片言」
うるっさい。
聖に文句は言えないんだから、それくらい察しろってんだ。
「はっきり言えばいいじゃない、目に鼻くそなんかつくわけないって」
「だから、伏せていたんでしょーが!わざわざ繰り返すな」
世の男どもは、この毒舌極悪女王様のどこがいいのだろうか。