先生の秘密
「分かってるわよ…」
聖もあくまで冗談で言ったのだろう、はつかの正論に気まずそうに口を閉ざした。
「そんなことよりさー、何か面白いこと起きないかなぁ?」
「やめてよね、面倒事はご勘弁」
はつかの言葉に私は反射的に噛み付いた。
聖は聖で、呆れたような表情になったかと思えば、何故かため息を吐いた。
「面倒事は嫌だって言う割には、青葉が一番トラブルメーカーなのよね」
「そうそう、藤島先生にだって真っ先に気に入られたっぽいし」
一瞬、ドキリとする。
先生が内海先輩を好きだということも、先生の相談役に抜擢されたということも、二人には話していない。
というか、誰にも言える訳がない。
別に二人を信用していないという訳でもないが、私が信用していようがいまいが関係ないのだ。
問題は、先生が信用しているか、していないか、なのだから。
私が勝手に二人に言おうもんなら、先生の信用を裏切ることになるのは私だ。
…もっとも、信用も何も、初めから私に知られている時点で、口止めするしか方法はないのだけれど。